難しい?靴・シューズ販売の接客方法
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はじめに:靴・シューズ販売の仕事は「難しい」のか?
靴・シューズ販売の接客は、アパレル販売の中でも「難しい」というイメージを持たれがちです。
なぜなら、単にデザインや色を提案するだけでなく、お客様の足の形、歩き方、用途、さらには健康にも関わる専門知識が必要とされるからです。
しかし、その「難しさ」は、お客様から「ありがとう!」「買ってよかった!」という最高の言葉をいただける、大きなやりがいにも繋がります。
この記事では、靴・シューズ販売の仕事に興味がある方や、これからチャレンジしたいと考えている方に向けて、その接客の本質と具体的なステップを詳しくご紹介します。
これを読めば、靴販売の仕事に対する不安が期待に変わるはずです。
靴・シューズ販売の接客が他の販売と違う理由
靴・シューズ販売の接客は、他のファッションアイテムの販売とは一線を画す特有の難しさと面白さがあります。
1. 試着とフィッティングの重要性
洋服の場合、サイズが合わなくても「少しゆったり着る」など、許容範囲が広いこともあります。しかし、靴の場合はそうはいきません。
例えば、
サイズやワイズ(足幅)が合わない靴を履き続けると、外反母趾や扁平足、タコ、魚の目といった深刻な足のトラブルの原因になることがあります。
お客様が「このデザインが好き」と感じても、履き心地が悪ければ、それはお客様にとって「良い買い物」とは言えません。
以下に、靴のフィッティングで特に注意すべきポイントをご紹介します。
- 捨て寸:つま先にできる、指が動くための適切な余裕のことです。
- ボール部:足の一番幅が広い部分です。ここが靴の一番幅の広い部分としっかり合うことが重要です。
- 踵(かかと):踵がしっかりホールドされているかを確認します。
これらのポイントをチェックしながら、お客様の足の健康を守るという視点を持って接客することが、靴販売のプロフェッショナルには求められます。
2. 用途に応じた提案の専門性
靴は、履くシーンや用途が非常に多岐にわたります。そのため、お客様のライフスタイルや使用目的を深くヒアリングする専門性が求められます。
例えば、
一口にスニーカーといっても、ランニング用、ウォーキング用、タウンユース(普段履き)用では、求められる機能が全く異なります。
- ランニングシューズ:クッション性、反発力、軽量性、通気性が重視されます。
- ウォーキングシューズ:安定性、耐久性、自然な足運びをサポートする設計が重視されます。
- ビジネスシューズ:革の種類、ソールの素材、デザイン、歩行時の快適性が重視されます。
お客様が「通勤に履きたい」という場合でも、「どれくらいの距離を歩くのか」「会社にドレスコードはあるか」「雨の日はどうするか」といった、より具体的な情報を引き出す必要があります。
このヒアリングの精度が、お客様の満足度に直結します。
3. 在庫管理と手間
靴は、デザインや色だけでなく、サイズとワイズ(足幅)のバリエーションが非常に多い商品です。
例えば、
ある一足の商品を販売する場合、22.5cmから25.0cmまで0.5cm刻みで、さらに「E」「2E」「3E」といったワイズの展開がある場合もあります。
そのため、お客様から「別のサイズを試したい」と言われるたびに、バックヤードへ在庫を探しに行く回数が増えがちです。
この試着と在庫探しの手間をいかにスムーズに行い、お客様を待たせないようにするかという効率性も、靴販売の重要なスキルとなります。
靴・シューズ販売の具体的な接客ステップ
ここからは、靴・シューズ販売における「お客様をファンにする」具体的な接客ステップを解説します。
ステップ1:お客様の足元への声かけ
お客様が靴を見始めたら、まずは足元への配慮を示す声かけをします。
例えば、
「お客様、このデザインは今年の新作で人気ですが、よろしければお足のサイズを測らせていただきましょうか?より快適に履ける一足をご案内できます。」
といった具合です。
これにより、お客様は「この店員さんは、ただ売るだけでなく、自分の足に合ったものを真剣に探してくれる」と感じ、信頼感が生まれます。
ステップ2:徹底したヒアリング(3つのポイント)
お客様が何を求めているのかを深く理解するために、以下の3つのポイントを必ずヒアリングします。
目的と頻度:「いつ、どこで、どれくらい履くか」
お客様が最も重要視している機能やデザインの方向性を把握します。
例えば、
「お仕事で毎日履くためのパンプスですか?それとも、週末のお出かけ用ですか?」
「履かれる頻度はどれくらいになりそうですか?」
「長時間歩く予定はありますか?」
この質問で、耐久性、クッション性、デザイン性のどれを優先すべきかが見えてきます。
現在の足の悩み:「困っていること」の聞き出し
お客様の現在の足のトラブルや、今履いている靴への不満点を丁寧に聞き出します。
例えば、
「今お履きの靴で、何かお困りの点はありますか?例えば、小指が当たって痛いとか、**夕方になるときつく感じるなど、どんなことでも結構です。」
ここで得られた情報は、単に靴を提案するだけでなく、「その悩みを解決する」という視点を持った提案に繋がります。
予算と希望:現実的な落としどころの確認
予算やデザインの具体的なイメージを把握することで、提案する商品の範囲を絞り込み、お客様の時間を無駄にしません。
例えば、
「差し支えなければ、ご予算の目安をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「お探しの靴は、革靴ですか?それともスニーカーのようにカジュアルなものがお好みですか?」
ステップ3:正確なフットサイジング
靴の販売では、お客様の足のサイズを正確に測ることが、すべての接客の土台になります。
左右の足の計測
人間の足は左右でサイズが違うことが一般的です。必ず両足の足長(そくちょう)と足囲(そくい)を計測します。
例えば
右足は23.5cm、左足は24.0cmで、ワイズは両方ともEだったという場合、大きい方の足(この場合は左足の24.0cm)に合わせて靴を提案するのが鉄則です。
プロによる足型のチェック
計測器で測る数値だけでなく、プロの目による足型の視覚的なチェックも非常に重要です。
以下に、チェックすべきポイントを挙げます。
- 甲の高さ:甲高のお客様には、甲の部分に余裕のあるデザインを提案します。
- 外反母趾や内反小趾の有無:特定の部位に負担がかからない、やわらかい素材やシーム(縫い目)のないデザインを提案します。
- 偏平足やハイアーチの有無:必要に応じて、インソールの提案も視野に入れます。
ステップ4:試着とフィッティング(確認すべき5つのポイント)
計測したサイズに基づき、まずは適切なサイズの靴を提案し、お客様に実際に履いてもらいます。
単に履くだけでなく、以下の**5つのポイント**を確認します。
- 踵のホールド感:カパカパと脱げそうにならないか、きつすぎないかをチェックします。
- ボール部の圧迫感:足の一番幅が広い部分がきつく圧迫されていないかを確認します。
- 捨て寸の確認:つま先に親指の幅程度の余裕があるかを確認します。
- 足指の動き:足指が中で自由に動かせるかを確認します。
- 立って歩く:必ず立ってもらい、数歩歩いてもらって、違和感がないかを確認します。
例えば、
お客様が歩いたときに靴擦れしそうと感じた場合、その原因が「サイズが大きいからか、素材が硬いからか」を特定し、別のサイズやデザインを提案します。
ステップ5:メンテナンスとコーディネートの提案
購入を決定していただいた後も、接客は続きます。お客様に長く、快適に靴を履いていただくための情報を提供します。
メンテナンス用品の提案
靴は適切な手入れをすることで、寿命が格段に延びます。
商品の素材に合わせた防水スプレー、クリーム、ブラシなどのメンテナンス用品を提案します。
例えば
「こちらのレザーシューズは、ご購入時に防水スプレーをかけていただくと、急な雨の日でも安心ですし、汚れもつきにくくなりますよ。」と、使用シーンとメリットを具体的に伝えます。
コーディネートのアドバイス
お客様がその靴を履くことを、より楽しみに思っていただけるように、具体的なコーディネートのアイデアを伝えます。
例えば、
「このきれいなターコイズブルーのパンプスは、デニムとの相性が抜群ですので、カジュアルダウンしたオフィスカジュアルにも使えますよ。」など、
お客様の服装やTPOに合わせたアドバイスを添えます。
靴・シューズ販売の仕事で得られるスキルとやりがい
靴・シューズ販売の仕事は、専門性が高い分、他の販売職ではなかなか得られない高度なスキルと大きなやりがいが得られます。
1. 専門性の高い接客スキル
靴のフィッティング技術や足の構造に関する知識は、一度身につければ、どの靴販売店でも通用する専門性の高いスキルです。
これは、お客様の健康に直接貢献できるという点で、大きな自信につながります。
例えば、
お客様が「どうしても足に合う靴が見つからない」と悩んでいたところに、あなたが足の計測とフィッティングを行い、最適な一足を見つけ出すことができれば、そのお客様にとっては「救世主」のような存在になれます。
2. お客様との深い信頼関係
洋服と違い、靴は一度購入すると、毎日履く、生活に密着した商品です。
お客様の生活や健康に関わるからこそ、販売員として深い信頼関係を築くことができます。
例えば、
「あなたが選んでくれた靴のおかげで、長時間の立ち仕事でも足が疲れなくなった」「外反母趾がひどくならずに済んでいる」といった、
感謝の言葉を直接いただける機会が多いのも、この仕事の大きな魅力です。
3. トラブル解決能力と提案力
お客様の「足が痛い」「合うサイズがない」といったトラブルや悩みを解決する能力と、その解決策として複数の選択肢を提案する提案力が鍛えられます。
これは、どんな仕事にも応用できる**汎用性の高いビジネススキル**です。
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靴・シューズ販売の仕事は、この記事でお伝えしたように、単なる物の売り買いではなく、お客様の「快適な生活」や「健康」を支える、非常にやりがいのある専門職です。
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